国の指定難病「自己免疫性膵炎」の病因を解明

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新たな診断や副作用の少ない新規治療の開発へ

2018/08/10 京都大学

千葉勉 名誉教授(関西電力病院院長)、児玉裕三 医学研究科講師(研究当時、現:神戸大学教授)、塩川雅広 同医員(研究当時、現:神戸大学特別研究員)らの研究グループは、指定難病である自己免疫性膵炎の患者がもつ自己抗体が、自身の膵臓に存在するラミニン511というタンパク質を誤って攻撃していることを発見しました。副作用の少ない新たな治療法の開発につながる成果です。

本研究成果は、2018年8月9日に米国の国際学術誌「Science Translational Medicine」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

私たちは、指定難病である自己免疫性膵炎の原因を解明しました。自己免疫性膵炎は、糖尿病を引き起こしたり、膵がんと区別がつきにくいことが問題となっています。この病気は、自分の免疫が誤って自身の膵臓を攻撃してしまうことが原因と考えられてきましたが、どの物質を攻撃しているかは不明でした。私たちは、自己免疫性膵炎患者さんがもつ自己抗体が、膵臓のラミニン511という物質を攻撃していることを発見しました。今後、ラミニン511に対する自己抗体を測定することが、診断に有用となり、この発見が副作用の少ない治療開発の礎になっていくと考えられます。これからも少しでも患者さんの役に立てる研究ができたらと考えております。

概要

自己免疫性膵炎は日本で確立された新しい疾患ですが、膵臓の炎症と線維化により糖尿病を引き起こしたり、膵がんと誤られて手術されたりすることが問題となっています。この病気は、自分の免疫(自己抗体)が誤って自身の膵臓を攻撃してしまうことが原因と考えられてきましたが、膵臓の中のどの物質を攻撃しているかは、多くの研究者が長年探していたにもかかわらず不明でした。

本研究グループは、この原因物質(自己抗原)を探索するために、自己免疫性膵炎患者の血液から抗体を抽出し、マウスに投与しました。その結果、自己抗体が、自身の膵臓に存在するラミニン511という細胞外マトリックス(細胞外に存在して身体の構造を支える物質)のタンパク質を誤って攻撃していることを発見しました。これにより、ラミニン511が自己免疫性膵炎の病因であることが確認されました。

今後、ラミニン511に対する自己抗体を測定することが、自己免疫性膵炎の確定診断に有用となり、この発見がより副作用の少ない新たな治療開発の礎になっていくと考えられます。

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1126/scitranslmed.aaq0997

Masahiro Shiokawa, Yuzo Kodama, Kiyotoshi Sekiguchi, Takeshi Kuwada, Teruko Tomono, Katsutoshi Kuriyama, Hajime Yamazaki, Toshihiro Morita, Saiko Marui, Yuko Sogabe, Nobuyuki Kakiuchi, Tomoaki Matsumori, Atsushi Mima, Yoshihiro Nishikawa, Tatsuki Ueda, Motoyuki Tsuda, Yuki Yamauchi, Yojiro Sakuma, Takahisa Maruno, Norimitsu Uza, Tatsuaki Tsuruyama, Tsuneyo Mimori, Hiroshi Seno, Tsutomu Chiba (2018). Laminin 511 is a target antigen in autoimmune pancreatitis. Science Translational Medicine, 10(453):eaaq0997.

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