平成30年度常磐・三陸沖カツオ長期来遊動向予測(6月~11月)

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2018/06/29  水産庁

平成30年度の水産庁におけるカツオ来遊動向予測(6月~11月)を公表いたします。

概要

本予測は、水産庁の「国際水産資源評価調査・情報提供委託事業」により、資源の合理的利用や操業の効率化を目的として行っているもので、国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所が、関係試験研究機関による資源調査結果等を踏まえて、主に近海カツオ一本釣り漁業の対象となる夏秋季の常磐・三陸沖におけるカツオの来遊動向について見通しを示すものです。

来遊量

近海カツオ一本釣りのCPUE(注1。以降は、「竿釣りCPUE」という。)は、5月上旬から下旬の本邦南方~東方沖の値と6月以降の常磐・三陸沖の値に、有意な相関関係があることがわかっています。この関係を用いたところ、本年の常磐・三陸沖における6月以降の来遊量は「昨年を上回り、過去10年平均並み」と予測されました(図1)。
なお、2016年の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)科学委員会においても、カツオ資源の分布域縮小に関する研究の継続が勧告されました(2017年も同勧告を踏襲)。赤道域における高い漁獲による、高緯度海域における利用の減少が懸念されています。このことから、中西部太平洋全体の資源状態と日本近海への来遊動向を引き続き注意深く見守っていく必要があります。


図1.過去10ヶ年の6~11月の常磐・三陸沖の竿釣りCPUEと予測された2018年のCPUE水準(赤マーカー)。図中の点線は過去10年間の平均値(2008年~2017年)、赤領域は80%予測区間を示す。

(注1)CPUE:Catch Per Unit Effort(1日1隻当たりの漁獲量)

主分布域

カツオは主に黒潮系暖水の張り出し及び暖水塊の北縁部西寄りに分布する傾向があり、予測される水温分布から、カツオの主分布域は次の3海域と考えられます(図2)。
なお、黒潮系暖水とは黒潮続流より北側の表層に分布する暖水のことで、100m深10℃の等温線を北端の指標としており、9~11月になると、平均的には7~8月よりも緯度で約1°北上します。

(1)7~8月 :38°15’N,143°40’E~39°15’N,145°15’E付近
(金華山東方180km~綾里埼東方290km)
9~11月:39°15’N,143°40’E~40°15’N,145°15’E付近
(魹ヶ埼東方130km~黒埼東方280km)
(2)7~8月 :40°30’N,145°15’E~41°30’N,146°15’E付近
(鮫角東方310km~尻屋埼東方550km)
9~11月:41°30’N,145°15’E~42°30’N,146°15’E付近
(襟裳岬東方160km~襟裳岬東方240km)
(3)7~8月 :38°45’N,146°15’E~40°15’N,149°45’E付近
(綾里埼東方380km~黒埼東方660km)
9~11月:39°45’N,146°15’E~41°15’N,149°45’E付近
(黒埼東方360km~下北半島東方690km)


図2.2018年7月~11月のカツオ主分布域予測

魚体

2018年6月上旬現在、尾叉長45cm前後(体重2.0 kg前後)と例年並みの個体が中心となっています(東北沖で操業している竿釣船・まき網船による漁獲物を主とした測定結果に基づく)。過去の体長組成の季節的推移から、南下する9~11月には体長52cm前後、体重3.0kg前後の個体が中心となると考えられます。

<添付ファイル>
(参考)カツオの回遊について

お問合せ先

増殖推進部漁場資源課
担当者:国際資源班 森田、清水、黒野

(具体的な内容について)
国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所
担当者:かつお・まぐろ資源部 清藤、青木、南

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