第二の地球を探す、新観測装置IRDが稼働

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2018/07/02 国立天文台

太陽系外惑星探索のための新しい観測装置「IRD(InfraRed Doppler、赤外線ドップラー装置)」がすばる望遠鏡に装着され、2018年2月に初観測を成功させました。この装置は、太陽に比べて暗く低温な恒星(M型星)を公転する「ハビタブル惑星」、すなわち水が液体で存在することが期待される惑星を探すためのものです。研究者たちは、太陽系の近くに数多く存在するM型星を観測し、惑星をたくさん発見して、詳しく調べていきたいと考えています。

図:M型星のテスト観測

M型星のテスト観測。レーザー周波数コムによる点像は、破線であらわされたM型星の観測スペクトルを測定するための定規の役割を果たす。

M型星は、質量が太陽の半分以下の軽い恒星です。軽い恒星は数が多く、太陽から16光年以内にある60個余りの恒星のうち、7割以上がM型星です。M型星が惑星を持っていると、主星が軽いため、惑星が公転することによる主星の動きが重い星よりも大きく、惑星が発見しやすくなります。より多くの惑星が見つかれば、ハビタブル惑星やその他の興味深い惑星もたくさん見つかると考えられます。

これまで、同じような方法で惑星を探すには、主に可視光カメラが使われてきました。しかし、M型星は太陽などとは違って、可視光よりも赤外線で明るく輝いているので、この捜索には新しい観測装置の開発が不可欠でした。そこで、自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター、同 国立天文台、東京大学、東京農工大学、東京工業大学の研究者を中心とするチームは、赤外線で惑星を探すIRDを開発したのです。すばる望遠鏡の集光力により、他の望遠鏡では観測が難しい暗いM型星でも、数百個ほどが惑星捜索の対象となります。

また、レーザー周波数コムと名付けられた新技術を使うと、人間が歩くくらいのゆっくりした運動をとらえることができます。主星の運動からは、惑星の存在ばかりでなく、その質量や主星からの距離などもわかります。これらの情報から、研究者はさらに調査を深めていきたい天体を選び出すことができます。

IRDは今後も試験観測を続け、2018年8月には世界中の研究者が利用できるようになる予定です。

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