1細胞解像度を有する点描脳アトラスの創出

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組織の膨潤および透明化を利用しマウス脳内の全細胞を解析

2018/03/08 東京大学 理化学研究所 日本医療研究開発機構

この度、東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻薬理学講座システムズ薬理学分野の上田泰己教授(同大学ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)及び理化学研究所生命システム研究センター兼任)と村上達哉日本学術振興会特別研究員らの共同研究グループは、新しい全脳膨潤・透明化手法「CUBIC-X」を開発することで、マウス脳の全ての細胞を詳細に観察することを可能とするイメージング技術を確立し、全脳全細胞解析を行うことにより、1細胞解像度でマウスの全脳アトラス(地図)を創出しました。(動画:CUBIC-X によるマウス全脳全細胞の”点描画” )。 この全脳アトラスを用いることにより脳内に存在する全ての細胞を網羅的に分析することが可能となり、1細胞レベルでの脳機能の理解に繋がることが期待されます。 脳は、膨大な数・種類からなる細胞が複雑なネットワークを形成することで、その多様な機能を有することが可能としています。 研究グループは、脳内の全ての細胞を解析する技術基盤を作り上げ、全細胞の位置情報を含む1細胞解像度脳アトラスを作ることで、脳機能を細胞レベルで理解することを目指しました。

研究グループは、約1,650個の化合物の中から組織膨潤と組織透明化を同時に可能とする試薬を同定し、実際に脳組織を膨潤させながら透明にする手法の作成に成功しました。 さらに、シート照明型蛍光顕微鏡により得られた画像から全脳の全細胞を正確に抽出し、まるでジョルジュ・スーラの絵画のような点描で表示されたマウス脳の全細胞アトラスを創出しました。 完成したマウス脳アトラスを用いて、マウス脳に含まれる脳細胞の数を正確に数えるとともに、臨界期の際に大脳皮質視覚野、体性感覚野の第2, 3, 4層で脳細胞数が減少することを発見しました。 また、薬物を導入された際に活動する脳細胞を検出し、脳アトラスに脳細胞の活動情報を書き込むことで、脳細胞の活動パターンを1細胞解像度で解析することを可能にしました。 更なる解析を進めることで、脳の一領域である海馬歯状回顆粒細胞層が機能的に異なる領域を複数有していることを発見しました。

この1細胞解像度マウス脳アトラスは、脳細胞数を数えることや脳細胞の活動情報を書き込むことにとどまらず、遺伝子発現情報や接続様式などさまざまな情報を書き込むことが出来ます。 研究コミュニティに広く利用してもらうことで、脳機能を1細胞レベルで理解し解明することが期待されます。 本研究成果は、英国の科学雑誌『Nature Neuroscience』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(3月5日付け:日本時間3月6日)に掲載されました。

※詳細はこちら[PDF: 927KB]をご覧下さい。

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