「日本古典籍データセット」を大幅に拡充

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日本文化を楽しめる料理本や伊勢物語、「武鑑」、絵本を多数公開

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)と情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH、センター長:NIIコンテンツ科学研究系准教授、北本 朝展)は大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館(国文研、館長:ロバート キャンベル、東京都立川市)(*1)と協働し、12月26日に「日本古典籍データセット」の規模を2倍以上に拡充して公開を始めました。さらに古典籍画像データを閲覧するための画像ビューアーの機能も向上しました。今回の公開規模拡充などにより、二次利用を歓迎するオープンデータ(*2)としての利用がさらに拡大することが期待されます。

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今回新たに公開された伊勢物語絵巻の一コマ(国文研 鉄心斎文庫、DOI:10.20730/200024363)

情報・システム研究機構は本年7月に、国文研などが所属する人間文化研究機構と連携・協力を推進する協定を締結しました。機構間の包括的な協定で連携体制を前進させ、人文学の膨大かつ貴重な歴史的資料のデータ化、解析、利活用の実現に取り組んでいます。CODHは国内外の人文学研究機関との連携を軸に人文学オープンデータの共同利用を推進しており、NIIも国文研と協働して「日本古典籍データセット」(*3)をCODHのサイトで公開するなどしてきました。

「日本古典籍データセット」は、2016年11月に701点(158,553コマ)のオープンデータとして公開しましたが、今回はこれを1767点(329,702コマ)へと大幅に拡充しました。

今回の拡充の目玉となるのは、料理本と伊勢物語、そして、江戸時代の大名や幕府役人の氏名や石高などの情報を記した「武鑑」です。また、国文研所蔵の絵本や絵入読本、画譜計286点も公開します。

NIIと国文研は昨年11月に江戸時代の料理本に書かれた料理手順をオープンデータ化した「江戸料理レシピデータセット」(*4)をCODHのサイトで公開しました。今回は国文研が撮影した味の素食の文化センター所蔵の料理本282点を一挙公開し、和食の歴史に関する資料がさらに充実します。

国文研には、故芦澤新二、美佐子夫妻が40年の歳月をかけて収集した伊勢物語の一大コレクション「鉄心斎文庫」の約千点が収蔵されています。今回はこのうち125点を公開し、今後も継続して本コレクション収蔵資料の画像を公開していきます。

また、「武鑑」は従来の8点に今回の公開で373点を新たに加えて合計381点となります。CODHは今年11月に、江戸時代の200年続いたベストセラーである「武鑑」を網羅的に解析することで、江戸時代の大名家や幕府役人に関する人物・地理情報などの中核的情報プラットフォームを構築するプロジェクトの一環として、「武鑑全集」(*5)を公開しました。今後もこの381点の網羅的な分析を進めていくことで、江戸時代の大名家や幕府役人に関する新しい知識が得られることが期待できます。

さらに、絵本太閤記などの絵入読本をはじめ、絵本通宝志や絵本磯馴松、吉原青楼年中行事といった絵本類、祐信風俗画譜や北斎画鑑などの画譜も公開しました。美術館で絵を鑑賞するように、古典籍に描かれた絵を楽しむことができます。

一方、標準的な画像アクセス方法として国際的に普及しつつあるIIIF(International Image Interoperability Framework)に準拠した画像ビューアー「IIIF Curation Viewer」については、お気に入りの画像を収集して自分のコレクションとして公開するキュレーション機能を拡張しました。この機能を使って古典籍の絵本などから人物の顔貌を収集すれば、美術史研究などに有用な画像集(*6)を作ることもできます。このキュレーション機能はすでに一部の日本美術史研究に利用されており、今後は世界的な美術史研究への適用を進めていく予定です。

「日本古典籍データセット」の公開サイトは以下の通りです。

NIIは国内の研究機関のオープンデータ化を支援、推進し、日本の学術コミュニティーにおけるオープンサイエンス推進の担い手として、データ公開の流れが加速するよう取り組んでいきます。

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