長距離データ転送の世界記録を更新

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ファイル転送プロトコルMMCFTPで転送速度231Gbpsを達成

2017/12/14

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)はNIIが開発したファイル転送プロトコル「MMCFTP」(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を用いた日本−米国間のデータ転送実験を行い、転送速度約231Gbpsで10テラバイト(TB)(*1)のデータを安定的に転送することに成功しました。NIIは昨年11月の日本-米国間のデータ転送実験で、それまでの長距離転送での「世界最高速度」として報告されていた80Gbpsを上回る転送速度148.7Gbpsを記録しています。今回の実験結果はこれを更新するものです。この実験結果は12月15日に大学ICT推進協議会2017年度年次大会(広島市)で発表します。

【実験結果】

実験は日米間に100Gbps3回線(合計300Gbps)の実験回線を特別に確保し、11月12日~17日に米デンバーで開催された国際会議「SC17」(*2)の会場から日本に向けてデータを転送する形で、「メモリーtoメモリー(M2M)」(*3)と呼ばれる条件で行いました。10TBを転送した時の実質転送速度(グッドプット)(*4)は、7回の試行で224.9Gbps(転送時間5分55秒)~231.3Gbps(転送時間5分45秒)でした(図1)。10TBは一般的な25GBのブルーレイディスクで400枚分、地上波デジタル放送の動画に換算すると約1200時間分に当たります。今回の実験では、この大容量データを米国から日本に6分未満で転送したことになります。

昨年11月の転送実験(*5)は国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)と共同で行い、米ソルトレイク・シティから日本に向けてデータを転送する形で実施しました。100Gbps2回線(合計200Gbps)の実験回線を使用し、「メモリーtoメモリー」条件で10TBを転送した時の実質転送速度(グッドプット)は148.7Gbps(転送時間8分58秒)でした。

一つのTCPコネクションを用いる転送方式では回線数を増やしても1回線分の帯域しか使えないのに対して、多くのTCPコネクションを用いるMMCFTPは回線数分の帯域を使用できるという特徴を生かし、今回の実験では昨年11月の記録を上回る転送速度を達成しました。今回の記録は大陸間クラスの長距離データ転送として「世界最速」(1サーバー対1サーバーのデータ転送速度)と考えられます。

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〈図1〉実験結果(帯域利用状況、「SC17」会場内ネットワーク機器、計測間隔 20秒、JP-NOC提供)

ファイル転送プロトコルMMCFTPで転送速度231Gbpsを達成/長距離データ転送の世界記録を更新 - 国立情報学研究所 / National Institute of Informatics
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